シナリオライター、映像作家として駆け抜けた30代。40代になってようやく恵まれた娘は妊娠26週、わずか620gで誕生した。小さな体で一生懸命生き抜く娘にいのちの輝きを学び続ける宮沢さんは、地域で子育て中のお母さんたちとともに、ドキュメンタリー映画「地球交響曲」の連続上映会を企画・運営しています。

Vol.9 あざみ野ガイアシンフォニー上映実行委員長の宮沢あけみさんです!

2010.09.03

いのちの輝きより大切なものはない、と知った娘の誕生


宮沢あけみさん。明るくハキハキ、聞きやすい声で話してくれる。ご自身のDVDではナレーションを務めている


ーー宮沢さんは41歳で娘・そらちゃんを出産しました。妊娠26週の早産で、620gで産まれたそらちゃんは、今では元気で幼稚園に通っているそうですね。

 

宮沢あけみさん(以下、敬称略): そらの誕生によって、私の人生は変わりました。それまではシナリオライターとして、作品を書いては賞に応募したり、映画を撮りたいという夢に向かって走る、まさに仕事一直線の日々でした。

ところが、ある日、そらはわずか620gの超低出生体重児として産まれてきた。最初のうちはなかなか出ない母乳をどうにか搾り出してNICU(新生児特定集中治療室)に届ける毎日でした。「私はちゃんと子どもも産めない女なのか?」と自責の念にかられる私を救ってくれたのは、NICUの保育器の中からにこっと笑ってくれたそらでした。

NICUでは毎日カンガルーケア(赤ちゃんと母親が直接肌を合わせる産後ケア。低出生体重児の生存率の改善に寄与するといわれている)をやり、そらはだんだん母乳を上手に飲めるようになって、確実に成長していきました。一方で、NICUでともに過ごしてきた赤ちゃんの中には、亡くなったり、重い障害を得るなど、笑顔で「卒業」できないお母さんたちもいました。

そらが産まれるまでは、「自分が努力さえすれば人生何でもできる」と思っていました。しかし、そうではなかった。自分は無力であるとともに、人間の小ささ、同時に大きさを痛感しました。そらが教えてくれたのは、「いのちの輝きこそがこの世の中でいちばん大切」ということ。自分一人で生きていけるわけではないのだから、人の手を借りて、感謝して生きていこう。そして、人に対して自分ができることは、何だってしてあげよう、そんな風に人生観が変わったのです。

 

ーーそらちゃんとのNICUでの日々を綴った宮沢さんの著書『ミラクルBaby 620gのそらが教えてくれること』では、私も自分の出産や育児を振り返り、つい涙ぐむこともありました。

 

宮沢: 子育て中の方でそう言ってくださる方が本当に多いんです。620gで産まれるということはとてもインパクトが強く、亡くなったり、障害を持ったり、学年が遅れたりすると思われる方が多いようです。私がこの本を書いたのは、「620gで産まれても、こんなに元気に育つ子もいるんだ」ということを伝えたかったから。そのことを必要としている人が必ずいるはずだ、と思ったからです。


宮沢あけみ(みやざわ・あけみ)

川崎市多摩区在住。あざみ野ガイアシンフォニー上映実行委員会委員長。シナリオライター、ドキュメンタリー映像作家、脚本家、演出家。シナリオライターとして円熟期の41歳で授かった娘・そらちゃんを妊娠26週・620gで出産。NICUで毎日カンガルーケアと授乳を続け、そらちゃんは障害も発達の遅れもなく、今では元気で幼稚園に通っている。著書にミラクルBaby 620gのそらが教えてくれること』(彩流社)がある。2008年、故郷である信州・佐久市の望月小学校開校記念全校音楽劇『望月の駒』の脚本と演出を担当した。

今月29日・30日にはアートフォーラムあざみ野で地球交響曲第三番を上映する。

 

http://www.ne.jp/asahi/azamino/gaiasymphony/top.html

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