虫が食うから、無農薬の野菜は安心?

2010.02.05

地中深くの水を吸って生きる自然農法の稲

 

稲作は比較的、自然農法にむいている。気候の変化[北原1] にも強く、あまり失敗はない。ところが、2000年の夏、ひどい水不足に見舞われた。溜池もなく、周りの山からの染み出る水しか水源のない田んぼが、初めて干上がった。ひび割れた田んぼにわずかな稲穂が残った。しかし、そんな状況の中でこそ、自然農法の稲の素晴らしさを発見することができたのだ。

 

表面は無残な地割れ状態だが、このような里山の湿田は、土の奥深くまで水分が残っている。自然農法の稲の根の先端は、地下2メートルまでも伸び、土深くの水分を吸収する。穂の数は少ないが、その一粒ひと粒のモミは立派に成熟していた。どのような条件であろうと確実に子孫を残そうとする。それこそ、自然農法の米の生命力だ。

 

人間は、米を「食料」としか見ないで、食味や増収のために品種改良を進めてきた。このような稲には、生命力は失われている。また、倒伏(稲が風雨などで倒れること)を防ぐために、品種改良で稲の背丈も短くされてきた。しっかり根を張ることができれば、少々の雨風では倒れることはない。私が植えている「栄光」という品種は、茎が太く、丈も長い。だが、なかなか倒れない。倒れても自力で起き上がれるだけの生命力を持っている。

 

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木村広夫(きむら・ひろお)
NPO法人農に学ぶ環境教育ネットワーク理事長。グラフィックデザイナーとして活躍後、1988年に岡田茂吉氏の「自然農法」に出会う。1995年、横浜市青葉区の「寺家ふるさと村」の休耕田で稲作を開始、自然農法農家として独立する。生命の学びの場として自然農の田畑を地域の人と共有すべく、2008年NPOを設立、現在に至る。
http://www.nounimanabu.net/

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