
●「気づき」が環境問題解決の第一歩

(写真/大橋新)
脱サラを考えた当時、自給自足的な田舎暮らしへの憧れもあったが、自己完結して終わるにはまだ早いし、社会ともっと関わり、今という時代に常にアンテナを張っていたかった。そういう意味でも寺家ふるさと村は、私にとってかけがえのない絶好の環境と立地だった。
やっていることといえば、日々の作業に追われる毎日だが、これを10数年も続けていると、いろいろなことに気づき、見えてくるものがある。農業としての生産性や、その中での人と自然との関わり方などを考えながら、「自然を守る」とか、「地球にやさしい」とかいう言葉に違和感を覚えながら、自然農での稲作を続けている。最近よく自然のバランスが崩れているといわれるが、結局、環境も自分自身の現れであるから、言い換えれば人間自身のバランスが崩れているということになる。
私のやっていることを周りは環境保全型農業とか循環型農業とかいろいろ言うが、私がこの仕事に携わり、得た一つの結論は、「自然農を通して、人としてのバランスを取り戻すこと」だった。環境破壊とは自分自身の破壊である。人間一人ひとりの気付き(悟り)こそが、環境問題解決の第一歩だと私は考える。
自然の営みを注意深く観察することで、多くの気づきに出会える。自然の理(ことわり)の中で、人は生かされていることや、自然に対する畏怖心と同時に、思いやりのこころを育む。このような自然から教えられた智恵は、親から子に伝えられ、日本の農耕文化(里山文化)として、千数百年以上も受け継がれてきた。
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木村広夫(きむら・ひろお) |
| NPO法人農に学ぶ環境教育ネットワーク理事長。グラフィックデザイナーとして活躍後、1988年に岡田茂吉氏の「自然農法」に出会う。1995年、横浜市青葉区の「寺家ふるさと村」の休耕田で稲作を開始、自然農法農家として独立する。生命の学びの場として自然農の田畑を地域の人と共有すべく、2008年NPOを設立、現在に至る。 | |
| http://www.nounimanabu.net/ | |




