
●HowからWhy。農に学ぶための一歩
「農に学ぶ。」を言い換えれば「自然に学ぶ。」ということなのだが、はたして現代の農から自然を学べるだろうか?
最近ある人からこんな話を聞いた。「米作りの歴史は数千年とはいえ、言い換えればたかだか数千回の経験にすぎない。ひとつの新技術、新発見に至るまでに数千回、数万回の実験、検証が繰り返され現代科学が進歩してきたことに比べたら、まだまだ農は進化し得るし、可能性は無限にある」、と。いかにも農に関心のある若者たちが興味を示しそうな話である。
稲作体験に来ている環境経済学の学生からも、「世界の食糧問題を考えた時、農作物の遺伝子操作もやむを得ない」という意見が出た。私としては、人間の止まることのない科学的探究心は感銘に値するが、正直、それは片手落ちな爬行的進歩のように思える。
科学は自然の仕組みのほんの一部分を解明したにすぎず、その技術は、生命の商品化をどんどん推し進めている。自然のシステムに習うのが環境経済学かと思っていたが、学生の多くが関心を持っているのは環境ビジネスなのには驚いた。まさに現代はエコバブルの真っただ中なのだ。
数千年の米作りの歴史を振り返った時、変わらないもの、普遍的なものにこそ真理が隠されているのではないか? どのようにしてお米が作られる(How?)かではなく、なぜ(Why?)お米が存在するのか? このように素朴な、子どもが「なぜ? なぜ?」と問いかけるような疑問こそ、真理の探究の始まりでる。大人の、忙しくて考える暇がなかったという言い訳はもう通用しない。哲学なき時代は終わったのだ。
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木村広夫(きむら・ひろお) |
| NPO法人農に学ぶ環境教育ネットワーク理事長。グラフィックデザイナーとして活躍後、1988年に岡田茂吉氏の「自然農法」に出会う。1995年、横浜市青葉区の「寺家ふるさと村」の休耕田で稲作を開始、自然農法農家として独立する。生命の学びの場として自然農の田畑を地域の人と共有すべく、2008年NPOを設立、現在に至る。 | |
| http://www.nounimanabu.net/ | |




